Date: | 2013-11-03 23:00 |
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tags: | kaa, Python3 |
slug: | kaa-doc-ja |
kaa はシンプルで簡単に使える、コンソール用テキストエディタです。
Contents
kaa は簡単かつ高機能なテキストエディタで、次のような機能を備えています。
- マクロ記録
- Undo/Redo
- マルチウィンドウ・マルチフレーム
- 構文ハイライト
- Grep
- Python デバッガ
- オープンソース・ソフトウェア(MITライセンス).
- などなど
http://kaaedit.github.io にもスクリーンショットが公開されています。
kaaは高機能ですが、簡単に扱えるようになっています。まず最初に、「メニューは f1 キーか alt+m で表示する」ということだけ覚えてください。ほとんどの機能は、このメニューから利用できます。メニューには下線が引かれた文字がありますので、その文字のキーを押して実行します。MS-Windowsのメモ帳のように、わかりやすく使えるように配慮されています。
kaa はプログラミング言語 Python で開発されており、簡単な Python スクリプトでさまざまなカスタマイズを行えます。
kaa はCUI環境用のエディタで、LinuxやMac OS Xなど、多くのUN*X系オペレーティングシステムで動作します。kaa はUnicodeアプリケーションで、kaaを実行するプラットフォームとターミナルエミュレータはどちらもUnicodeをサポートしている必要があります。
MS-WindowsのCygwinは、現在のところサポートしていません。今後、CygwinでPython3.3以降がリリースされたあと、kaaの動作確認を実施する予定です。
Python 3.3以降。
Python 3.3 開発用ライブラリ。Debian/Ubuntuでは、
$ sudo apt-get install python3-dev
で必要なファイルをインストールできます。
Pythonをパッケージ管理システムからインストールするのではなく、独自にビルドして利用する場合、ビルドする前に、ワイド文字をサポートした ncurses ライブラリをインストールしておく必要があります。Debian/Ubuntuでは、
$ sudo apt-get install libcursesw5 libncurses5-dev libncursesw5-dev
で必要なファイルをインストールできます。インストール後に、Pythonを再ビルドしてください。
UTF-8 locales(ja_JP.UTF-8など)
(オプション) Cython
easy_install3 や pip-3で、PyPI からインストールします
$ sudo easy_install3 -U kaaedit
kaaでは、alt+k のような alt キーを使った操作を利用します。最近のWindows や Linux のターミナルエミュレータではそのまま利用できますが、Mac OS X のターミナルやiTermでは、以下の設定が必要になります。
Mac OS X のターミナルの場合 :
- 「環境設定」メニューを開く
- 「設定」タブを開く
- 「キーボード」タブを開く
- 「メタキーとして option キーを使用」をチェックする
iTermの場合 :
- 「Preferences」メニューを開く
- 「Profiles」タブを開く
- 「Keys」タブを開く
- 「Left option Key acts as: +Esc. 」 ボタンと「Right option Key acts as: +Esc. 」 ボタンをチェックする
Gnome terminal では、f1 キーでメニューを表示する場合は次のように設定します。
- 「Edit | Keyboard shortcuts」メニューを開く
- ショートカットに「Help/Contents」が表示されるまでスクロールし、f1キーを別のキーに変更する。
kaaは256色モードをサポートしていますが、256色モードを使えるようにするには、ターミナル設定の変更が必要となる場合があります。 Max OS Xのターミナルの場合、
- 「環境設定」メニューを開く
- 「詳細」タブを開く
- 「ターミナルの宣言方法」で、「xterm-256color」を選択する
iTermでは、次のように設定します。
- 「Preferences」メニューを開く
- 「Profiles」タブを開く
- 「Terminal」タブを開く
- 「Report terminal type」で、「xterm-256color」を選択する
これ以外のターミナルエミュレータでは、手動での端末種別設定が必要な場合があります。 Gnome terminalなどでは、~/.bashrc ファイルに、次の一行を追加してください。
export TERM=xterm-256color
ターミナルの設定については、http://www.pixelbeat.org/docs/terminal_colours/#256 などを参考に256色モードを有効にしてください。
kaa は以下のコマンドラインオプションをサポートしています。
usage: kaa [-h] [--version] [--no-init] [--init-script INIT_SCRIPT] [--palette PALETTE] [--term TERM] [file [file ...]]
-h, --help | show this help message and exit |
--version | show version info and exit |
--no-init | skip loading initialization script |
--init-script INIT_SCRIPT | |
execute file as initialization script instead of default initialization file | |
--palette PALETTE | |
color palette. available values: dark, light. | |
--term TERM, -t TERM | |
specify terminal type | |
--command command, -x command | |
spefify kaa command id to execute at startup e.g: kaa -x python.console / kaa -x tools.grep |
kaaは直感的に使えるように配慮されており、文字キーをタイプすれば文字が入力され、カーソルキーや削除キーもそのまま使えるようになっています。
f1 キーか alt+m (altキーを押しながら m キーを押す) でメニューを表示します。メニューの項目には下線が引かれた文字がありますので、その文字をタイプすると実行します。日本語入力中でIMEが日本語入力モードになっている場合、altキーを押しながらメニューキーをタイプすると、IMEが日本語入力モードのままでもメニューを選択できます。
メニューを終了するときは、エスケープキーでキャンセルします。
New | 新規作成 |
Open | ファイルを開く |
File info | ファイル情報を表示する。また、タブ・インデントなど のファイル別設定を変更する。 |
View Diff | 元のファイルと、現在のバッファの差分を表示する |
Save | ファイル保存 |
Save As | ファイルに名前をつけて保存 |
Close | アクティブなフレームを閉じる |
Save all | すべてのファイルを保存する |
Close all | すべてのフレームを閉じる |
[Recently] | 「最近のファイル」メニューを開く |
Quit | kaaを終了する |
Recently used files | 最近使ったファイルの一覧を表示する |
Recently used dirs | 最近使ったディレクトリの一覧を表示する |
Cut | 選択文字をカット |
Copy | 選択文字をコピー |
Paste | クリップボードからペースト |
Paste History | クリップボード履歴から選択してペースト |
Undo | 最後の修正を取り消し |
Redo | 最後の undo を取り消す |
Search | 文字列検索 |
Replace | 文字列置換 |
Complete | 単語補完 |
[Convert] | 文字列変換メニューを表示 |
Upper | 選択文字列を大文字に変換する |
Lower | 選択文字列を小文字に変換する |
Normalization | 選択文字列を正規化形式KCで正規化し、半角カナ->全角 などの変換を行う |
Full-width | 選択文字列の数字やアルファベットなどを全角に変換 する |
Codeメニューは、ファイルの種類によって異なります。プログラミング言語では、以下のような項目が表示されます。
Comment | 選択範囲した行をコメントにする |
Uncomment | 選択した行のコメント解除する |
Table of contents | 目次を表示し、選択した項目にカーソルを移動する |
Start record | マクロ記録を開始する |
End record | マクロ記録を終了する |
Run macro | 最後に記録したマクロを実行する |
Python console | Pythonスクリプトを実行する |
Grep | 指定したディレクトリからファイルを検索する |
Paste lines | 自動インデントせずにテキストをペースト |
Shell command | シェルコマンドを実行し、結果を入力 |
Make | make コマンドでソースファイルをコンパイル
し、結果を表示します。f9/f10キーで前後のコンパ
イルエラーに移動します。 |
Frame list | フレーム一覧を表示。カーソル左右でフレームを 選択する。 |
Split vert | ウィンドウを縦に分割する |
Split horz | ウィンドウを横に分割する |
Move separator | ウィンドウの分割位置を変更する。カーソル左右で、 分割位置が更新される |
Next window | 次のウィンドウに移動 |
Prev window | 前のウィンドウに移動 |
Join window | 分割したウィンドウを結合 |
[Switch file] | ウィンドウ変更メニューを表示 |
Switch file | ウィンドウで表示しているファイルを切り替える。 カーソル左右でファイルを選択する。 |
New file here | 現在のウィンドウで新規にファイルを作成 |
open file here | 現在のウィンドウでファイルを開く |
Recently used files | 現在のウィンドウで最近使ったファイルの一覧を表示する |
Recently used dirs | 現在のウィンドウで最近使ったディレクトリの一覧を表示する |
F1, alt+m | メニューを表示 |
Alt-w | ウィンドウ変更メニューを表示 |
左、Control+b | カーソル左 |
右, Control+f | カーソル右 |
上 | カーソル上 |
下 | カーソル下 |
Control+p | 1行上の物理行に移動 |
Control+n | 一行下の物理行に移動 |
Control+left, Alt+b | 一つ前のワード境界に移動 |
Control+right, Alt+f | 次のワード境界に移動 |
Alt+p, Page up | 次ページ |
Alt+n, Page down | 前ページ |
Control+a, Home | 行頭 |
Alt+^ | 行頭の非空白文字 |
Control+e, End | 行末 |
Alt+<, Control+Home | ファイルの先頭 |
Alt+>, Control+End | ファイルの末尾 |
Control+g | 指定した行番号へ移動 |
Control+t | 目次を表示 |
Shift+left | 前の文字へ選択 |
Shift+right | 次の文字へ選択 |
Shift+up | 上の行へ選択 |
Shift+down | 下の行へ選択 |
Shift+Home | 行頭まで選択 |
Shift+End | 行末まで選択 |
Control+Shift+Home | ファイルの先頭まで選択 |
Control+Shift+End | ファイルの末尾まで選択 |
Control+Space, Control+@ | テキスト選択マークを設定。 |
Alt+# | テキスト矩形選択マークを設定。 |
Alt+a | すべてのテキストを選択 |
Alt+c | 一度押すと現在の単語、2度目は現在の行、3度目は すべてのテキストを選択する |
Backspace, Control+h | 前の文字を削除 |
Delete, Control+d | カーソル位置の文字を削除 |
Control+backspace, Alt+h | 前の単語を削除 |
Control+Delete, Alt+d | カーソル位置の単語を削除 |
Control+k | 行末まで削除 |
Alt+k | 行全体を削除 |
Control+v | クリップボードからペースト |
Control+x | カット |
Control+c | コピー |
Alt+v | クリップボード履歴からペースト |
Control+z | 最後の編集を取り消す |
Control+y | 最後のUndoを取り消す |
Control+s | テキスト検索 |
Alt+s | テキスト置換 |
F2 | 前を検索 |
F3 | 次を検索 |
F6 | マクロ記録開始・終了 |
F5 | マクロ実行 |
Alt+. | 直前の編集コマンドを再実行 |
Tab | 選択行をインデント |
Shift+Tab | 選択行をインデント解除 |
Control+o | 単語補完 |
Control+u Alt+! | シェルコマンドを実行し、結果を入力 |
置換ダイアログで regex ボタンをチェックしている場合、Search と Replace に指定した文字列は正規表現文字列となります。この場合、\t や \n などの特殊文字はそれぞれタブ文字と改行文字に変換されます。
同様に、バックリファレンスも検索条件に一致した文字列で置換されます。例えば、検索文字列が '(a+)(b+)' で置換文字列が '\2\1' の場合、文字列 'aabb' は 'bbaa' に置換されます。
Grepダイアログの Search には検索文字列を、Directory には検索を開始するディレクトリを、Filename には検索対象となるファイル名のパターンをシェル形式のワイルドカードで指定します。ファイル名は、スペースで区切って複数指定できます(例: *.txt *.py *.doc)。各項目では、カーソル上キーでこれまでの入力履歴が選択可能となります。
検索結果ウィンドウでは、エンターキーで現在行のファイルにジャンプします。その後 f9 キーと f10 キーで前後の検索結果に移動できます。
Pythonの対話コンソールとは違い、スクリプト入力欄でエンターを入力するだけでは実行されません。スクリプトを書き終わるまで自由に編集し、書き終わったら alt+エンター を入力して実行します。この時、テキストの一部が選択中なら、選択されている部分だけを実行します。
実行した時、スクリプトが式として評価できる場合は、評価結果を出力ウィンドウに表示します。また、スクリプトが print() などで標準出力・標準エラー出力に出力した結果も表示されます。
Kaa は、Pythonのデバッガモジュール(bdb
) のフロントエンドとして、他のプロセスで実行する Python スクリプトをデバッグできます。Kaa自身はPython3.3以降でのみ動作しますが、デバッグ対象のプロセスではPython2.6以降のPythonインタープリタをサポートしています。
Pythonデバッガは、以下のいずれかの方法で起動します。
kaadbg
パッケージをPythonインタプリタで起動し、デバック対象のプログラムをkaaに接続します。 kaadbg
パッケージは kaa の一部としてインストールされますが、Python 2.6/2.7でのデバッグを行う場合は、別のパッケージとして個別にインストールできます。
$ sudo pip install -U kaadbg
kaadbg
は、Python2.6 〜 3.x のデバッグをサポートしています。
デバッガを起動するとき、まずkaa のメニューで [Tools]|Python debugger server
を選択し、表示されるフォームにデバッガで使用するポート番号(デフォルトでは 28110
) を指定します。
次に、kaa を実行しているターミナルとは別のターミナルを開き、以下のコマンドを実行します。
$ python -m kaadbg.run my_test_stript.py arg1 args
kaaデバッガのポートとして 28110 以外を指定した場合は、コマンドライン引数 -p
でポート番号を指定してください。
$ python -m kaadbg.run -p 29000 my_test_stript.py arg1 args
kaadbg
パッケージをデバック対象のプログラムにインポートし、Python標準の pdb
モジュールのように set_trace()
でデバッガに接続できます。
デバッグの開始は、kaa のメニューで [Tools]|Python debugger server
を選択し、表示されるフォームにデバッガで使用するポート番号を指定します。
デバック対象プログラムの、デバッガを起動する位置に以下の処理を追加します。
import kaadbg.debug
kaadbg.debug.set_trace()
kaaデバッガのポートとして 28110 以外を指定した場合は、set_trace()
の引数として指定します。
import kaadbg.debug
kaadbg.debug.set_trace(29000)
テスト対象プログラムを起動し、set_trace()
が実行されるとkaaデバッガに表示されます。
テスト対象プログラムを kaa の子プロセスとして起動し、デバッグします。
まず、kaa のメニューで [Tools]|Python debugger
を選択し、テストコマンドを指定します。テストコマンドは、
python3.3 -m kaadbg.run myscript.py arg1 arg2
のように、python3.3 -m kaadbg.run
の引数として、テスト対象のスクリプトとパラメータを指定して実行します。
この方法でデバッグを実行すると、対象プログラムの標準入力はすぐにクローズされます。また、標準出力・エラー出力も表示されません。
ブレークポイントのオン・オフは、Pythonモードでメニューの [Code]|Toggle Breakpoint
を選択して行います。デフォルトのキー設定では、f8
キーに割り当てられています。
デバッガウィンドウが表示されている時は、エスケープキーで一旦デバッガウィンドウを閉じ、エディタウィンドウでブレークポイントを設定します。設定終了後、もう一度メニューで [Tools]|Python debugger
を選択すると、デバッグを再開できます。
ブレークポイントの一覧は、デバッガウィンドウの Breakpoint
で表示します。
停止位置での変数の表示は、デバッガウィンドウの Expr
を指定し、self.field1
のように、表示する式を入力してエンターキーを押します。
[Tools]|Make
で make
コマンドを実行し、ファイルをコンパイルします。実行時にはコマンドやオプションを指定し、過去のコマンド履歴を参照する場合はカーソル上キーを押します。
make
の実行結果はウインドウに表示され、エンターキーでエラーが発生しているソースファイルを表示します。前後のエラーに移動するときは、f9/f10 キーを押します。
kaa は、起動時に ファイル ~/.kaa/__kaa__.py をPythonスクリプトファイルとして実行します。このファイルには、kaa をカスタマイズするためのスクリプトを記述できます。
from kaa.filetype.default import defaultmode
defaultmode.DefaultMode.SHOW_LINENO = True
defaultmode.DefaultMode は全てのテキストファイル用編集モードの基底クラスで、 Defaultmode.SHOW_LINENO が True なら全てのファイルで行番号を表示します。
個々のファイルタイプで行番号の表示・非表示を設定する場合は、そのファイル編集モードクラスの SHOW_LINENO を設定します。
# Show line number in HTML mode
from kaa.filetype.html import htmlmode
htmlmode.HTMLMode.SHOW_LINENO = True
ウィンドウ分割を、Emacs と同じキーに割り当てます。
from kaa.keyboard import *
from kaa.filetype.default.defaultmode import DefaultMode
DefaultMode.KEY_BINDS.append({
((ctrl, 'x'), '2'): 'editor.splithorz' # Assign C-x 2
})
この例では、C-x 2 というキーシーケンス(control+x の後、2 を入力) に、'editor.splithorz' コマンドを割り当てています。
色パレットを、light
に設定します。
import kaa
kaa.app.DEFAULT_PALETTE = 'light' # `light' テーマを指定。デフォルトは`dark'
Copyright (c) 2013 Atsuo Ishimoto
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